おそらく、忘却の闇
創造者が迷い込む暗く深い森がある。
その森は闇と言っても差し支えないほど、何しろ暗い。
そこでは方位磁石も訳には立たないし、こだまがしたりしなかったりする。
光の差してくる方向も、鳥が飛んできて帰ってゆく方向も、
みんなばらばらでちぐはぐなので、東西南北、前後左右もわからぬ。
『迷いの森』
物を書いたり作っていると、そんなふうな迷いに陥る
何が正しいのかというか、もはやこれは正しい方向に向かって歩いて良いものなのかもわからなくなったり
光が見えたとしても一瞬で、すぐに見失ってしまう
私は小さい頃から忘却の闇が怖かった
ベッドの中で何か考え事をしていても朝になると忘れてしまうというのが怖かった
まっくらな穴の中に私の考えていたことが落ちてゆくのが見えて
それに手をのばすけれどもう二度とつかめない
そういう時、私にとって忘れてしまうことって簡単なんだなと思う
記憶の中に1つ1つしまっておきたいのに、しまいこんだ扉は簡単には開かない
何かの拍子にふと開くこともあれば、扉は一生施錠しきったままだったり、
その扉は忘却の闇につながっていることを知らずに情報や感情を放り込んでしまったりもする
こわいけれど、考え続けなくちゃ
経験してたくさんの扉に記憶も情報も感情も放り込まなくちゃ
母数が少なければ開く扉も少ない、一定の確率で扉が開くとは断言できないが
そうでもしなくちゃ、きっといてもたってもいられなくなるんだからすぐに