思考の畔で

ニュースとか、生きていて思ったこととかなんでも、思ったこと書きます。無責任なことも言いますが、誰かの意見が聞けたら良いなと思います。

【本から】硝子戸の中/夏目漱石 著

或時私は二階へ上って、たった一人で、昼寝をした事がある。その頃の私は昼寝をすると、よく変なものに襲われがちであった。私の親指が見る間に大きくなって、いつまで経っても留らなかったり、あるいは仰向に眺めている天井がだんだん上から下りて来て、私の胸を抑えつけたり、または眼を開いて普段と変らない周囲を現に見ているのに、身体だけが睡魔の擒となって、いくらもがいても、手足を動かす事ができなかったり、後で考えてさえ、夢だか正気だか訳の分らない場合が多かった。そうしてその時も私はこの変なものに襲われたのである。

 私もこれとまったく同じで、親指に襲われたことがあって。

中学くらいでこれを経験して、高校の現代文のテキストではじめてこれを読んだ時に本当に驚いた。

夏目漱石に問いたい。なぜ親指なんですか……?